10月17日ニューシングル「UNDER/SHAFT」発売の黒崎真音、 2周年記念ワンマンライブレポートが到着!
|黒崎真音にとって2年という年月は、どれだけのスピードで流れたのだろうか。2010年の『学園黙示録HIGHSCHOOL OF THE DEAD』全話ED曲を集めたアルバム『H.O.T.D.』にて強烈なインパクトと共にデビューを果たし、以降数々のアニメ主題歌を担当、“Animelo Summer Live”をはじめとした国内外のライブに出演……など、それはあっという間と呼ぶにはあまりに重厚な時間だった。それを裏づけるように、この日デビュー2周年ライブを迎えた黒崎は、そのパフォーマンスでもって爆発的進化を遂げた2年間を表現していたように思える。そしてそこには、未来に向かって光る、一筋の希望すら見出せた、そう感じさせるライブだった。
この日のオープニングは物悲しいイントロダクションから、黒崎の歌唱へと繋がり「メモリーズラスト」からスタートした。「今日は来てくれてありがとう! 一緒に楽しみましょう」という宣言と共にバンドが加わると、ステージは一気にまぶしいばかりのスポットライトに包まれる。軽快なステップを踏みながら、抒情性をたたえた黒崎の歌唱が響く。その存在感は激しいバンド・サウンドの前でも実に伸びやかだ。そのまま次の曲「VANISHING POINT」へ。よりラウドになったバンド・サウンドに観客は「オイ!」のコールと、ヘッド・バンギングで応戦する。続くスリリングな「十鬼の絆」へと休みなく披露する、のっけから強烈なアグレッションを見せつけてくる。
短いMCを挟み、ダンサーを引き連れて軽快なクラップを観客と楽しむ「fuss fuzz」から、超へヴィーな「SCARS」へ。ここからの畳みかけがまたすごかった。続くゴリっとしたボトムを聴かせる「Glanz」、そして新曲の「Crimson roses」へ。めまぐるしく展開していくヒリヒリとした緊張感のなか、黒崎のボーカルも緩急をつけた見事なもの。ここ最近シアトリカルなステージングが見られるようになったが、ここでのパフォーマンスは圧巻のひとことで、ステージの床を妖しくのたうつように歌う姿には、全身が粟立つような感覚を覚える。こうしたサウンドとパフォーマンスにおけるアグレッションもまた、この2年間に鍛えたスキルである。
その後黒崎がステージ袖にはけ、バンドによるインスト演奏で場をさらに盛り上げたあとは衣装をチェンジしての「比翼 -Contract with you-」へ。ここからアニメ『薄桜鬼』関連楽曲が続く、彼女の繊細でエモーショナルな歌唱を存分に楽しむパートだ。続く「光 ~I promise you-」「真実 -The light lasting-」はアコースティック・セットで、より柔らかな黒崎の歌声が際立つアレンジとなっていた。そして、このパートの締めくくりは、彼女の抒情性の到達点のひとつともいえる名曲「黎鳴 -reimei-」へ。アッパーなサウンドのなか、力強くもメロディアスな歌唱がとにかく素晴らしい。
再びバンド・インストを挟んだあとは、一転してエレクトロなダンス・ナンバー「Baby☆maybe」へ。オリジナルの振りつけを観客と楽しみながら、セットはいよいよ後半戦へ。ここで黒崎は突如「新メンバー」を紹介。その正体は、マットなブラック・ボディがクールな、レスポール・タイプのギター。なんとギターを演奏しながらのパフォーマンスとなった。歌うは彼女のデビュー曲である「君と太陽が死んだ日」だ。絶望的なまでのヘヴィーネスに、ギターを鳴らす姿は実にさまになっている。続くファストな「鳴り響いた鼓動の中で、僕は静寂を聴く」でもしっかりとリフを刻む。そして「screaming! shouting!l oudly!」では、観客のボルテージもいよいよ頂点に達しようかというほどの熱気が会場を包む。そして、いよいよ本編もクライマックスというところで、黒崎が告げたのは、ライブ初披露となる、ニュー・シングル「UNDER/SHAFT」のタイトルだ。現在放送中のアニメ『ヨルムンガンド PERFECT ORDER』のOPテーマであるこの曲、無機質なデジタル・ビーツが印象的なインダストリアルな魅力の楽曲だが、これがバンド・サウンドで演奏されると会場の熱気もあいまってまた独特のグルーヴを形成している。また黒崎のあらたな一面が見られる傑作だ。その冷徹な熱にうなされるような感触のあとは、待ってましたの「Magic∞world」へ。2011年にリリースされた彼女のファースト・シングルにして、やはり最も盛り上がる代表曲だ。何度も聴き、何度も観たこのパフォーマンスも、この2年間の集大成でもあるこの日はより一段と熱いパフォーマンスだったと感じる。
ここまで黒崎は、この2年間で得た喜びと感謝をしきりに伝えるMCをしてきた。そしていよいよ本編ラストというところで、彼女は感極まった表情で、彼女がデビューするまでの日々を語り始めた。歌をうたうことへの渇望と、同時に訪れる不安と戦いながら過ごしてきた日々。それを乗り越え、またそれがあったからこそ伝えられることがあると彼女は言う。目の前にいる観客をはじめとした多くのファン、そして彼女を後押ししてきた家族への感謝を述べながら、「これからはみんなを引っ張っていく存在になりたい」と宣言した表情は、涙に濡れながらも晴れやかで、そして何より力強かった。まるで、2周年を完結し、次のフェーズへと進むことを表するかのようで、だからこそ本編の最後に披露された「hear..」はどこまでも優しく響き、このライブのなかでまた成長を遂げたような、あらたな黒崎真音を見ている、そんな感動があったのだ。
その後のアンコールでは、これまたライブ向けな代表曲「ANSWER」からスタート。その後、まさかのALTIMA「BURST THE GRAVITY」をMAONではなく黒崎真音として、ロッキンに披露するというサプライズを挟み、最後は定番の「The Eternal Song」で祝福的なムードでもって、記念すべき2周年ライブは幕を閉じた。
あまりにあっという間で重厚なこの日セットは、黒崎真音のこの2年間を体現したものだといっても過言ではない。そして、その最後に残ったものは、未来に向けた希望だ。この日の熱気と祝福は、彼女の糧になり、また爆発的に進化した黒崎真音となって我々の前に姿を見せるだろう。そしてそれは、決して遠くない未来なのだ。
UNDER/SHAFT
TVアニメ「ヨルムンガンド PERFECT ORDER」オープニングテーマ
発売日:10月17日発売
○初回限定盤(CD+DVD)GNCA-0245、¥1,890(税込)
○通常盤 GNCA-0246 ¥1,260(税込)